禁断の果実に手を伸ばしてしまった。
以前より気にはなっていたLeica CL。ライカ最後(かもしれない)APS-Cフォーマットのミラーレスカメラです。
偉大なる先駆者オスカー・バルナック氏に思いを馳せて作られたCL、はい。私はオスカー・バルナック氏についてはよく知りません。というよりも、ライカについてもあまり知りません。現行モデルがどういうものか、という程度です。
高すぎるLeica M、完成度の高いLeica Q、その辺りに興味を持ったことがないわけではありません。
気合を入れれば、買えないこともない。しかし私の食指は動くことはなく、最終的にLeica CLに辿り着きました。
なぜCLなのか、CLの素晴らしさについてライカ素人が勝手気ままに書き残そうと思います。
ここに記したことに共感できる人であれば、Leica CLは最高のカメラになることでしょう。
Leica CLのスペック
その前に簡単にLeica CLのスペックを見てましょう。
型式:APS-Cデジタルシステムカメラ
レンズマウント :ライカLバヨネットマウント方式
対応レンズ :ライカLマウント
撮像素子:APS-Cサイズ CMOSセンサー(23.6×15.7mm)
有効画素数:2424万画素 アスペクト比:3:2
記録画素数 DNG:6016×4014画素(2400万画素) JPEG:6000×4000画素(2400万画素)、 4272×2856画素(1200万画素)、3024×2016画素(600万画素)
記録形式:圧縮率 DNG、JPG、DNG+JPG
本体 トップカバーおよびベースプレート:アルミニウム削り出し(アルマイト仕上げ)
フロントカバーおよびリアカバー:マグネシウム製
寸法:131×78×45mm(幅×高さ×奥行)
質量 :403g(バッテリー含む)/ 約353g(バッテリー含まず)
(引用:Leica CL)
センサーサイズはAPS-CサイズCMOSセンサーで有効画素数は2424万画素。僕の愛するGRⅢxと全く同じですね。レンズ交換式なのですが、ライカLマウントを採用しています。よって、シグマやパナソニックが開発しているLマウントレンズが装着可能です。
まぁ、普通のカメラだよね。っていうのがスペック上の感想でしょうか。
Leica CLの真の姿をお見せしましょう。
表っつらのスペックだけなら、現行に近いモデルで言えばSONYのα6600、FUJIFILMのX-E4あたりが比較対象でしょうか。しかし、それだけでLeica CLを計ってはいけません。このカメラの本当の力をご紹介しましょう。
ボディ内手ぶれ補正→無し
瞳検出→無し
入出力端子→無し
USB充電(給電)→無し
モニター→固定(バリアングル、チルト×)
何もないやん。。
X-E4も手ぶれ補正はありませんが、それ以外の項目(瞳検出、入出力端子、USB充電・給電、モニター可動)はα6600にもX-E4にも備わっています。Leica CLは全部ついてません。
もちろんテザー撮影もできません。2017年発表のモデルとはいえ、国内メーカーならある程度標準装備とも言えるものが、このLeica CLにはないのです。
この辺りはLeica Mとも通ずるところではあります。MにはUSB-Cついてますけどね。
そうです、この標準的なミラーレスカメラは、スペック的には最新機種にあるようなあれこれが、何もないんです。
だから、Leica CLは美しいんです。
僕のカメラ遍歴
Leica CL愛を語る前に、一通りのカメラ遍歴をお伝えしておきます。
僕はメカとしてのカメラが好きというわけではないので、いうほどのカメラ遍歴はありませんが、
今まで使ってきたカメラの流れで言うと
Nikon D3300(学生の時に買った初めてのカメラ。売却)
Panasonic GH5(売却)
SONY α7sⅡ(売却)
SONY α6500(今も所有)
SONY α7RⅢ(後輩に12万円で売却)
SONY α7Ⅲ(今も所有)
SONY α7C(今も所有)
Leica D-Lux7(今も所有)
RICOH GR3x(愛してる)
本格的に写真をやるようになったのはSONYに入ってからですが、カメラ遍歴としてはこんな感じです。
D-Lux7に関してはネタですので、ライカのカメラは今まで触ったこともありません。まして強い憧れがあったわけでもありません。ライカについてよくわかっていなかったのです。
どちらかというと、カメラに求めているものに一番近いのがライカだった。と言うよりもLeica CLだった。という感じです。
持ち運びがもうイヤー!ってなる。
カメラ遍歴を見るとお分かりいただけるかと思いますが、高画質・高性能を求めた時期が僕にもありました。。α7RⅢなんて何回使ったんやってレベルですが、購入した当時は興奮したのを覚えています。
α7シリーズだって十分小型軽量です。しかし、いくらミラーレスで軽くなったとはいえ、やっぱり持ち歩かなくなるんですね。レンズを入れたら1kgを超えてきます。箸より重いものを持ったことがない僕にとっては苦行でしかないわけです。
そこで出会ったのが、α7Cです。当時フルサイズミラーレスで最軽量(バッテリー含み509g)。これは驚異的でした。一般的な評判は今ひとつ良くない様ですが、僕には最高の相棒になりました。
軽くて機能も十分すぎるくらいで、これは比較的持ち出して使っていました。
しかしそこで次に、僕はコンデジ(RICOH GRⅢx)と出会ってしまいます。ポケットの中の神様です。僕にはαシリーズとの画質の差もちょっとしかわかりません。それがこれだけコンパクトで軽く、どこに持ち出してもストレスがない。コンデジの素晴らしさを知ってしまいました。
Less is Moreという美意識
GRⅢxを使う中で、カメラの中にある要らないもの(僕にとって)がたくさんあったことに気付かされました。特に、ボタン類です。
SONYのカメラに限らず、国内メーカーのカメラにはボタンが至る所についていますね。正直、使っていないボタンがいくつあるのかわかりません。そしてUIにはたくさんの文字表記。これも僕の中に違和感を与えていました。GRⅢxはコンデジなのでボタンも比較的少ない、というよりかなり少ないです。
しかし、Leica CLのボタンはさらに少なくなっています。「PLAY」「FN」「MENU」この3つだけです。十字キーにもホイールもありません。
そして、電源のON/OFFですら文字が書かれていません。
機能を削ぎ落として、最大の効果を出す。そういう哲学をライカから感じました。
圧倒的なデザイン
このLess is More(少ない方が豊かである)という信念がデザインにも如実に現れています。
ボタンに限らず、USBやHDMIなどの入出力もありません。潔さが圧倒しています。
シンプルで研ぎ澄まされたインターフェースは「機能が少ない」のではなく「豊かである」ことの証明です。
単に減らしているのではなく、絞り込んでいるとも言えます。人間は得ることよりも手放すことの方が大変だと言いますが、ライカは勇気を持って絞り込んでいるように感じます。
それが証拠に、Leica CLは使っていて不便はなく、むしろ操作性は他のカメラよりもはるかに良いです(僕は)。この辺はライカ全体を通して言えることだと思います。
APS-Cの恩恵。システムを通して、小さく軽い。
デザインやインターフェースの豊かさというのはLeica MやLeica Qももちろん洗練されています。
というよりも、力を入れている分さらに上をいくことでしょう。
しかし、α7Cに至った僕にとっては、やはり重い。エボシ様も石火矢に軽さを求めたように、僕もカメラには身軽さを求めていました。そこで、APS-Cです。
前述のように、Leica CLは本体重量が403g(バッテリー含む)です。この時点でもα7Cよりも100g程度軽くなっています。それは当たり前ですね。α7Cはフルサイズセンサーですから。
しかしレンズも入れた時を考えたいものです。
例えば85mmの中望遠のレンズをつけた場合、α7Cの場合は、
FE 85mm F1.4 GMのあのレンズが、約820g。
FE 85mm F1.8でさえ、約371gあります。
つまり総重量は約900〜1300gになるわけですね。
一方Leica CLの場合は、比較的近い焦点距離で言えば、
SIGMA 56mm F1.4 DC DN | Contemporaryが、約285g。
Leica APO-Macro-Elmarit-TL 60 f/2.8 ASPH.が、約320g。
約700g前後となるわけです。そして、システムを通してはるかにコンパクトです。
Leica Q2なら637gでもっと軽いやんけ、と思うかもしれません。しかし、Leica CLに同じ程度の画角のレンズをつける場合は、
Leica Elmarit-TL 18 f/2.8 ASPH.が、なんと約80g!
システムを通しての総重量は500gを切ります。500mlペットボトル飲料以下です。
Leica Q2のクロップ機能を使えば全体を通してみればそちらの方が良いではないかと思う方もいるかもしれません。しかし僕にとっては、身軽になりたいときはとことん身軽に、しっかり撮りたい時も700g程度、かつコンパクト。というのが、ピタッとハマる感覚があったのです。
出てきた画にも心奪われてしまった。

SONYユーザーだった僕は当然Lマウントレンズは持っていなかったので、2本だけ購入しました。先ほどのSIGMA 56mm F1.4 DC DN | ContemporaryとLeica Elmarit-TL 18 f/2.8 ASPH.です。
ライカのレンズは流石にちょっと高かったですが、それでもMマウントのライカレンズに比べれば大したこともありません。
そして撮ってみて、ライカの世界に引きずり込まれてしまいました。僕程度でも、撮った写真から伝わってくるものがありました。
なるほど、ライカに惚れる世界中の写真家の気持ちが少しだけわかった気がしました。

潔く減らし、身軽に美しい
長々と書いてましたが、僕がLeica CLを選んだのはこのシンプルであるがゆえの豊かさと、身軽さからでした。
シンプルで豊かなインターフェースだけだったら、ライカMやQがいいかもしれませんし、身軽さだけだったらSONY α6600でもX-E4でもいいかもしれません。
だけどその両方のバランスを、僕のさじ加減でベストに保っているのは、Leica CLしかありません。
いやはや、ライカの恐ろしさよ。。
しかし何故、CL2を作ってはくれないのだ。残念でならない。