【寫眞の唄】二〇二四年五月二九日 水曜日

褒められるとアレルギーが出る。

歯の浮くような褒め言葉が不快だからとかいうことではない。

褒められると単純に嬉しい。

ただ、そこには二つの影が差す。

ひとつは、褒められた姿に自分を近づけようとしてしまうことだ。

つまりこれは、他人の言葉に自分を動かされてしまうことに他ならない。

本来思い描く自分の像の外側で、予期せぬことで褒められることもある。

または、自分の思い描いていた形に自分をつくることができて、それが褒められるということもある。

どちらにしても、褒められた箇所の価値が大きいと錯覚してしまうのだ。

それによって、その部分をさらに増強しようとしてしまう。

しかしそれは、本来思い描いていた自分像から離れていってしまうことにもなりかねない。

そして、そうやって褒めて来た相手は、その褒めた方向に僕を突き動かそうとしている意思が垣間見えることもある。

これが二つ目の理由だ。

他人のコントロールを受ける形になる。

どちらも、自分を作っていく過程から離れてしまうことが多い。

だから褒め言葉はあまり聞きたくないのだ。

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